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メッセージのtetsuのレビュー・感想・評価

メッセージ(2016年製作の映画)
4.5
公開時、観逃したのですが、
地元の映画館"塚口サンサン劇場"で幸運なことに「ブレードランナー2049」の公開に合わせ、1週間限定の再上映が行われており、
映画研究部の部会を休んで(←コラッ)、念願の鑑賞!

突如、地球に降り立った宇宙船。
言語学者であるルイーズは、物理学者イアンと宇宙人が来た目的を突きとめるため、彼らとコンタクトを始めるのだが...。
過去、現在、未来、
全てはつながっている...。

個人的には、本作がドゥニ監督の長編初鑑賞だったのですが、大満足な体験が出来ました!
塚口サンサン劇場さんの素晴らしい音響のおかげで、まるでIMAXのような臨場感を味わえましたし、
(軍用ヘリに乗るシーンでは体が震える程)
開始15分、ヨハン・ヨハンソンさんによるエモーショナルで壮大なスコア、
そして、そこで描かれる主人公の娘の境遇には母の事を思いだし、
体も心も震わされ、
自然と涙がこぼれました...。

また、
この作品、ひとつのテーマとして、
"対話"
というものがあったと思うのですが、
劇中、宇宙人との対話だけでなく、様々な対話を描いているところも興味深かったです。
馬や芋虫と触れ合う主人公の娘の姿は生物との対話を匂わせているように感じましたし、
人間達の対話のシーンでは、相手を理解し合うことの難しさも描かれていたと思います。
このシーンからは、身近にいる大切な人ほど、しっかり"対話"をしていくべきだと改めて感じましたし、僕自身、最近、大学生活やらバイトやらで、一緒に住んでいる兄と会話ができない日々が続いているので、日々の生活を見直していこうと思いました。

ところで、少し話は逸れますが、
僕の趣味の1つに、名作やシリーズ物映画のパンフレットを集めるというのがありまして、
そんな僕にとって、今作のパンフレットは大満足でした!
まず、装丁が素晴らしく、
表紙は本作で特徴的だった宇宙船の形が切り取られ、次のページで本作のプロモーションでも使われていた野原に佇む宇宙船のヴィジュアルが登場、そして、裏表紙では北海道に降り立った宇宙船が採用されていたのも印象的でした!
また、内容も充実しており、ふんだんに盛り込まれた場面写真や、様々な評論家による作品解説、そして、トレーシングペーパーの様な素材を使って、絶妙に表現された主人公と宇宙人の"対話"シーンなど、様々な工夫が凝らされていて、今までのパンフレットライブラリーでも1.2を争うクオリティでした!笑笑

最後に、
名作だった本作ですが、やや不満点もあったので、そこも少々書かせていただきます。

ここから、ネタバレ


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クライマックスで明らかになる衝撃の真相は驚きましたが、
宇宙人と接触する以前、
物語の序盤から、あのシーンがあるのには、ちょっと違和感を感じました。笑笑
宇宙人との接触によって、あの能力を身につけた、という定義づけがないため、ストーリー的には矛盾していないのかもしれませんが、最初にあのシーンを入れるなら、物語の開始時点で宇宙人とコンタクトをとっている設定でも良かったのでは?笑
とも思いました。


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というわけで、
探していけば、多少、ストーリーの突っこみどころがでてくる作品だとは思いましたが、
「インターステラー」にも通ずるような"親子愛"というテーマや、SF版「アバウト・タイム」といっても過言ではない、物語が最後に提示する"メッセージ"に、大いに賛同できる作品だったので、SFを普段観ない人にこそ、おすすめしたい、SF感動大作でした!

参考

映画メッセージはとにかく...
ーただ文句が言いたくて
https://www.tadamonkugaiitakute.com/17124.html
(文句を言うために映画を観ている方のサイトwww。
いわゆる炎上商法のため、ナンセンスな文句もあるのですが、自分では気づかなかった矛盾点を突っ込んでくれる時もあるため、批判的な鑑賞の勉強にはなります。笑笑)

【2017年振り返り】映画『メッセージ』考察 ヘプタボット語が...
ーMoeka's Film Diary
http://roserosemoeka-film.hatenablog.com/entry/arrival-movie-japan-review
(ライターのMoekaさんは、filmarksもされているようですが、ブログでは、そのメディアの特性を活かして、画像と共に、分かりやすく、面白い観点から映画を考察されていました。興味のある方は是非!!)
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