わたふぁ

メッセージのわたふぁのレビュー・感想・評価

メッセージ(2016年製作の映画)
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言葉で溢れたこの現代に投下された、意思疎通が取れそうもない不気味なクエスチョン。
この問題に直面し、解決のために人類は「団結」するのか、それとも愚かにも「分裂」するのか。ドゥニ・ヴィルヌーヴが新たに提起する。

実際このような巨大浮遊物体が出現したら、人類は全勢力を注いであらゆる観点からアプローチするでしょう。
生物、物理、地理、数学、科学、考古、天文、歴史、統計、神話。音楽や芸術も関わってくるかもしれない。この他にも、あらゆる学問の蓄積が人類にはあるし。
と、出現した未来図がイメージしやすい時点で、とても時局性のある画期的な映画なのだと思います。
今回はそのアプローチの一つである「言語」の観点で、言語学者・ルイーズが謎に挑みます。

しかしあれです。中にいる謎の知的生命体は別にして、スタイリッシュな宇宙船の存在が気になります。
何かとても、威風堂々とした佇まいで、地球においては"おでき"のような違和でしかないけれど、このままインテリアとして残しておきたい気もしてきます、途中から。古さと新しさを持ち合わせたデザインが秀逸でした。

この映画は、他国の言語を操れるマルチリンガルの、凄さとか、柔軟な考えの重要性がポイントの一つだと思う。
原題はArrivalで、邦題はメッセージ。このわずかな要素だけでも私たちの思考回路は根本的に「違う」ことがわかる。違いを理解し互いを知ろうとすること。話はそこからだ、という感じ。