このレビューはネタバレを含みます
公開日の鑑賞以来に見返したら記憶してた以上に素晴らしかった。
ドゥニ監督が描くランドスケープの美しさは流石。
言語の側面からというSFの新しい切り口。
まずヘプタポッドの言語をデザインしてるのがそもそもヤバい。映画という映像作品における美術的なアイテムとしても官能的に美しいと感じる図形でありながら、それが言語たる情報伝達の用途としてもしっかり詰められている。
そしてそれをここまでフィーチャーしておいて、言語はあくまでもエイリアンとの意思疎通のための鍵となる"ツール"だというある種のミスリードから、最終的に明かされるヘプタポッドの目的である人類へのプレゼントが"言語そのもの"であるという落とし方も綺麗すぎる。お見事!
未知の脅威に対して協力してた各国が政治的な判断が働いて、武器享受と情報優位性のために通信を切断して人類が分断される描写がリアルだなーと思った。意外とこれまでのエイリアンもので見なかった描写な気がする。
時間の流れを無視することで可能になる王道タイムSFの醍醐味もしっかり押さえていて、地味なエイリアンとのコミュニケーションに終始するだけじゃなく、ちゃんと終盤に映画的に盛り上がる展開を作っている。
そして未来を知ることによるルイーズの感情の切なさが、音楽と画作りが織りなす映画全体のトーンとマッチし過ぎてて、ここでもはや芸術の域に達している。映画のピークであり鳥肌が止まらなくなるところ。
映画が内包する全ての要素の一体感とクオリティが高すぎる。まさに傑作映画だと思います。
【鑑賞回数】2
【鑑賞履歴】
・2017🎞横浜ブルク13
・2021/01