Ranan

メッセージのRananのレビュー・感想・評価

メッセージ(2016年製作の映画)
5.0
(記憶が曖昧なのだけど)どこかの民族は死という概念がなく、誰かが亡くなっても村の中で役割や性格みたいなのを引き継いでまた誰かが生まれるので、無限ループみたいな状態がおこり、死の虚しさ、寂しさみたいなものは感じない(らしい)。

いうまでもなく死も、一直線上の時間という概念も、わたしたちが当たり前にしてしまっているだけで捉え方がそもそも異なる人々は今の世界にもいるだろう。
一方で、別の作品では科学者が「他のものは曖昧でも時間だけは真実」みたいなことを言っていた。

前置きはともかく、時間が線上のものではなく、もっと同時多発的に別の場面が発生できるなら、いずれ失うだろう娘のことも、きっと少しは憎くもなる夫のことも、悲しい未来として避けようとする力はあまり働かないのかもしれない。
エイリアンと対峙して「考え方」に変化が生じても、鮮明になっていくのは未来のことばかり。変化の兆しとしてのちょっとした過去が浮き彫りになってもいいのにな、と思った。それだけ娘や夫に対する想いが強いのかな。いくつも時が発生してしまうなら混乱して溺れそうなところ、確かにそこに生きていられるのは自我のような強い引力が可能にしている?
と思うと、決してこの作品で未来に対して前向きになるわけでもないんだけれど、何かの癒しにはなるんだろうなー。
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