みんと

明日はないのみんとのレビュー・感想・評価

明日はない(1939年製作の映画)
3.9
マックス・オフュルス監督を初体験。

ある事情からキャバレーで踊り子として働く主人公が、再会した昔の恋人にその姿を見せまいとついた嘘と、その顛末を描く。

モノクロ版『キャバレー』を彷彿とさせるオープニングから一気に引き込まれた。
そして、ちょっとダグラス・サーク的なベタなラブストーリーを予感させる序盤も良い意味裏切られ、テンポ良く展開して行くストーリーは、ありきたりなラブストーリーなんかじゃない。ハラハラ 緊張感もあり、謎が明らかになっていくミステリー味すら。

なんと言っても、光と影を使った流麗なカメラワークが素晴らしい。ヒロインの複雑な心理、人生の光と影を見事に表現していた。

生涯を通じ“女”を撮り続けた巨匠、マックス・オフュルス監督が、運命に翻弄される切ない女心をエレガントに描いたオフュルス的メロドラマ。

描きすぎないラストの余韻と言い、相性は悪くない印象。
そもそも82分と言う短尺にきっちり纏めあげる手腕。
他の作品も観てみたい。
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