ヒロ

明日はないのヒロのレビュー・感想・評価

明日はない(1939年製作の映画)
3.9
この映画を観ていて真っ先に思い浮かんだのが銀杏BOYZ「恋は永遠」のPV、矢沢ようこさんが如何にしてそのステージに辿り着いたのかそれにフォーカスし背ビレ尾ヒレをくっ付け塩胡椒で味付けしたものがオフュルス、逆に言えばオフュルスを濃縮還元100%絞りで提供してきたのが峯田、奴はやはり天才である。明日があるさ明日がある若い僕には夢があると希望に満ちた輝かしき日々から10年、ひとり息子を遠く寄宿学校に預け女の武器である身体を売って金儲け、諦念宿した哀しげな瞳に、哀愁漂う寂しげな背中に、客は銭を投げつける、そんな明日も見えないどん底で再び出逢ってしまった一人の男、金持ち顔よし中身よし全盛期の松井稼頭央を彷彿とさせる三拍子揃った理想のリードオフマンはかつての恋人、恋は見栄晴とはよく言ったものだがそんな嘘のメッキはいつしか剥げるつか禿げる、それでも家族になろうよ幸せになろうよと福山ではなく稼頭央は手を伸ばすのだがこんな汚い穢れた私がそんな幸せなんて頂けないと私は不幸でいなければならないのだと目の前に垂れる極楽へ続く糸から手を離す。あぁ王道、哀しき哉人生、それではマックスオフュルスで「恋は見栄晴、愛の身死度」。

《ゴーモン映画〜映画誕生と共に歩んできた歴史〜》
ヒロ

ヒロ