垂直落下式サミング

アントマン&ワスプの垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

アントマン&ワスプ(2018年製作の映画)
3.6
「お前が遊んでいるあいだ、こっちは大変だったんだ」というセリフは映画によく出てくるが、本当にバカが遊び呆けている様子をさんざん見せられた後に言われると、言葉の重みが違う。
相変わらずユルいギャグが満載。MCU連作のなかで、はじめて女性ヒーローの名前がタイトルに冠された作品であり、博士の娘であるホープもスーツを身に付けてヒーロー“ワスプ”となり、主人公に負けないアクション的な活躍をしてくれる。
前作は「重要なものを奪う」はなしだったのに対して、今回は「奪われてはいけないものを守る」物語なので、前作とは対になった展開で進行。今度はスコットが捕まったピム親子を救いに行くなど、続編として抜かりはない。
面白いには面白いのだけど、『インフィニティウォー』につながる連作としては公開する順番が悪かったのではないか。
車や建物までも小さくなるアクションは楽しいが、前作が下水道の中や蟻の巣の中など、普段だったら目にできないものを見せてくれたのに対して、本作のカーチェイスやキッチンでの戦闘は、我々が普段見ている世界の縮小版でしかなく面白味がない。
悪役についても、ヘラ、キルモンガー、サノスと名悪役が続いていただけに、今回のやつはちょい落ちる。ゴーストは確かにこれまでのやつらとは動機や目的が違っており、それなりに切迫した事情があるのだけど、キャラクターの内面や最後の決着の付け方が、やや凡庸に感じた。
あと、CGか特殊メイクで顔を変えたマイケル・ダグラスがホープの回想シーンで30年前の姿を演じているが、かなり嘘をついている。あんなに優しそうなお父さんなわけがない。コイツの30年前はゴードン・ゲッコーだ。
それと、マーベルオールスターのポスターみたいなのをもらいましたけど、仕事帰りの人はカバンに入らないし、小中学生のバックにも入らない大きさなので、物体を縮小する技術がないと持ち帰るのが難しい。ああいうのをもらっても、帰りにゴミ箱に捨てていきたくなるだけなので、もうちょっと考えてほしい。