えくそしす島

リメンバー・ミーのえくそしす島のレビュー・感想・評価

リメンバー・ミー(2017年製作の映画)
4.1
死生観とは様々だ。
国、風習、宗教、哲学、人種、そして個人。

自分には常に相反する考えがある。

死んだら無だ。自分がいた痕跡すら消えてしまいたい。



死んだら無だ。だけど、自分が存在した事を忘れ去られたくない。

この感情はどちらか、ではない。常に入り混じっている。

勿論考え方に正解はない。正解を求めるものでもなく、各々に行き着くものだろう。

この作品は、愛らしいキャラクター達に彩られた優しくて温かいメキシコの家族愛、伝統、音楽、そして死生観の物語。

監督はリー・アンクリッチ。トイ・ストーリー3なども手掛けている。

あらすじ
音楽のために家族を捨てた祖先がいるということで、音楽を禁止された家で育った少年ミゲル。
だが、禁止されながらも伝説的な歌手のデラクルスに憧れギターを弾いていた。
メキシコでは祖先の霊を迎えるために毎年行われる「死者の日」があり、ミゲルはそこで開催される音楽コンテストに内緒で出場をしようとするのだが…

メキシコの家族観というのは独特で、どの国よりも家族愛を大切にする。
死者の日とは「生きているものが、亡くなった親類を、愛情に溢れた雰囲気の中で思い出すための日」のことだ。

メキシコの人々の多くは死に対してポジティブだ。それはどう生きるかにも直結する。
死をタブー視し、それを「生」から遠ざけている日本人。対して、国中を挙げて「死」と向き合う時間を持っているメキシコ人。
なるほど、陽気な人が多い訳だ。

今生きている人が覚えていれば、どこかで生き続けることができる。そう思えるだけでなんて幸せな事か。
名を残す、とは違う。そんな大それたものではなくて、ただ覚えていてくれたら嬉しいなーと思う小さいものだ。

この映画はそんな深いテーマを陽気な笑いと愛に溢れさせ、子供から大人まで届けさせた素晴らしい作品。

ただ、家族との確執や恵まれなかった人達の目線だとまた違う見方にもなるだろう。

そして「ウン・ポコ・ロコ」を、ウンコだ!ウンココ!ウンポコ!と、本気で思った自分は無に帰すべき人間なのかも知れない。