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リメンバー・ミーのTEPPEIのレビュー・感想・評価

リメンバー・ミー(2017年製作の映画)
5.0
ピクサーがついにホームランを打った。
「リメンバー・ミー」は今こうして社会問題にもなってしまったリベラルの素晴らしさを説いた、メキシコに宛てたラブレターと言ってもいいくらいに素晴らしい作品。間違いなくピクサーのベストの部類に入る出来。死者の日をテーマにディズニーならではの多様性、そして王道的なテーマの融合が行き着いた答え。劇場で大笑いも出来て、ちょっぴり泣ける。人によっては号泣もするだろうこの作品をとことん評価したい。まずは北米では上映前にプチ・メイキングが流れるのだが、少年ミゲルが迷い込む「あの世」の映像がどれほど作り込まれたかが分かる。数えきれないほどの光の効果と、徹底的な映像表現、そしてピクサーならではの遊び心。感無量。これもう日本のアニメ追いつけないわ…と絶対開いた口が塞がらず…。既にアニー賞も独走で、間違いなくオスカーのアニメ賞も取るだろう。それぐらいこの作品にはサプライズがあり、ピクサーが持つ底力を最後まで感じ取ることができる。まずはキャラクターの表情は完全に命が入ってるし、自然の描写なんて実写と言われてもおかしくない。
では軽く「死者の日」に関して説明を。僕にはメキシコ人の友達もいて聞いた話によると、1年に一度家族と会えるいわばお盆のようなものでオフレンダという祭壇を作る。これが骸骨やローズマリーを供えるので、あくまで死者を楽しく迎える祝うというとても伝統的なイベント。こんな傑作見せられたら壁とか建てるどころじゃない。皆んながメキシコに恋をする。
キャラクターそれぞれの特徴や性格も細かく、常に明るくポップで楽しい描写が続く。しかもブラックジョークの効いた脚本も見事。絶対笑っちゃうからw
まず外国を舞台にここまで仕上げたディズニーピクサーを考慮すると、ここ数年の多様性ある作品は総じて徹底的なリサーチが施されている。それは「ベイマックス」でも共通していた。原題のCOCOはスペイン語でオバケという意味もあるようで、なんだかもう色々とこだわりがあって凄い。そのオバケたちのデザインもかつての「ナイトメア・ビフォア・クリスマス」などとも差別化されており、極め付けは音楽。
絶妙なスコアが映画全体を支えており、
まさにディズニーマジック。
総評として「リメンバー・ミー」はピクサー作品傑作のひとつとなり、限界を追求した野心作でもあった。文句なしの満点で。
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