YUKi

リメンバー・ミーのYUKiのレビュー・感想・評価

リメンバー・ミー(2017年製作の映画)
4.0
ピクサーが作り上げた、鮮やかで儚く美しい夢のような
“メキシコ”のビジュアル化に、ただそれだけで感涙。
マリーゴールドのオレンジ色がまばゆく煌びやかで、
ハイテンションなお祭りムードにワクワクした。

アニメーション作品で、あえてメキシコ、
そして死者の日を背景にしたことも斬新すぎる。

死者の日のシーンとして記憶に新しい
「007 スペクター」では
クールで荘厳なイメージに描かれていましたが‥。
あれはあれでダークに美しかったなあなんて思いつつ。

主人公のミゲルは音楽に興味を持つことを
禁じられた家庭環境で、靴職人になるべく
育てられるのですが、なぜか音楽に惹かれ
家族に隠れてはギターを奏で歌い、音楽の素晴らしさに
とっくに目覚めてしまっているんですね。

その才能は一瞬で観客を魅了してしまうほど。

それが知らさせていなかった彼のルーツに
繋がっていくんですが、そのストーリーに
しっかりと“死”というものが何であるか
ということが描かれている。

死とは生命が機能しなくなることだけでなく
人の記憶から薄れていくことだと定義づけ、
死者と生者をああいう形で融合させるなんて
‥‥さすがピクサー!!

死というものが単に“命をなくすという恐怖”ではない、
単に悲しいことではないというメッセージ性に
涙腺やられっぱなしでした。

この物語でのキーパーソンとなる
ガエル・ガルシア・ベルナル演じるヘクター、
かなりのダメ男でしたが、ミゲルとの心のやりとりで
自分の存在を取り戻すくだりにも涙。
ガエルくん声優業も完っ璧やわ‥(思わず惚れ直し)。

死の世界素晴らしい!という想いももちろん浮かびますが
死にたい!には直結しない。まずは生者で居られる間に
自分のことを憶えておいてくれる人を
わたしはまだまだいっぱい作りたい。作らねば。

意外だったのは短編の「アナと雪の女王」も
家系の伝統、ルーツがテーマになっていて
本作品とのリレーションを感じずには居られなかった。
YUKi

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