しゅん

リメンバー・ミーのしゅんのレビュー・感想・評価

リメンバー・ミー(2017年製作の映画)
1.0
螺旋状に色づいて立ち上がる死者の国の何という絢爛さ。マリーゴールドの葉で出来た橋のオレンジ色の何という暖かさ。物語の機転となる"あの事実"が知らされるときには涙が流れたし、『ペドロ・パラモ』などに描かれた生者と死者の渾然とするメキシコ的世界観をファンタジーに転換するセンスにも唸らされた。だからこそ、血縁家族こそがすべてを司る物語の力学に心底うんざりするし、生者の都合(写真を飾るか否か)で死者が規定されるというこの世界の規則にも許しがたいものがある。死後においてなお血の結束で縛るとは大層なもんだ。デラクルスに全てを押し付けてまで"家族"を強調したいんかい。死の世界に名声と国境を取り入れて死を矮小化してまでファミリーツリーを誇りたいんかい。音楽を求めただけの子供に謝罪の言葉を語らせてまで。それがあんたらの愛だというなら、おれは鐘の下で何度でも下敷きになるよ。子供に見せたくない映画ダントツのナンバーワン。
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