みおこし

リメンバー・ミーのみおこしのレビュー・感想・評価

リメンバー・ミー(2017年製作の映画)
4.1
今までの24年間、劇場で最も泣いた映画は紛れもなく『トイ・ストーリー3』なのですが、その監督のリー・アンクリッチが久々にメガホンを取られるということで、覚悟してはいたのですが、予想の遥か上を行く感動にまた涙腺を破壊されました(笑)。
あらすじは割愛!

オスカー中継の際、ジョン・カビラさんが試写で号泣されたと聞き、これは絶対観に行こうと決意した本作。ディズニー史上初めてと言っても過言ではない【死生観】をテーマにした作品ということで、舞台はメキシコの「死者の日」の祭りの前後。
これだけ聞くと悲しい雰囲気の作品なのかなと思ってしまいますが、ラテンのリズムの陽気な音楽と、目の覚めるような色彩によって、死後の世界をとにかく明るく美しく描いているのが本作の醍醐味。主役のミゲルが初めて死者の国に渡るシーンで、あのオレンジの橋を観たら「亡くなったあの人たちも、きっとこんな風に楽しく天国で暮らしているのかな...」と思えてつい安堵。それだけでなく、本作のミゲルの先祖のように年に一度はこちらに降りてきて、私たちを見守ってくれていると考えると、決して遠く離れているわけではないんですね。
表題曲の' Remember Me'が全てを表していますが、亡くなった人を思い出すことは決して悪いことではなくて。むしろ現世の私たちにできる唯一のことは、彼らを思い出すこと。長い歴史の中で、残念ながら今はもうそのありしの日の姿を覚えている人は誰一人存在しないという故人ももちろんいらっしゃいます。だからこそ、私のそばにいてくれた故人のことだけでも、私が生きている限りは常に思い出してあげることがいかに重要かが身に沁みました。
ご先祖様のことを知らない、はたまた歴史にあまり興味がないという方にこそ、本作は観ていただきたいなと。私ももちろん祖父母以上のご先祖のことを何一つ知らないですが、当然彼らがいなければ今の私はいないわけで。本作を観たおかげで、日本に「お盆」という行事があることの素晴らしさを今更ながら実感できた気がします。

ストーリーも意表をつく展開の連続!死の世界の描き方がとにかく丁寧で、死者を導く動物たち「アレブリヘ」や、現世との繋がりのシステムなど、事細かに再現された世界観は圧巻でした。無垢なミゲル少年の成長物語としても心打たれるストーリーで、ラストの彼の歌唱シーンは観客のすすり泣く声が終始聴こえ続けるほど、皆さん感動的な描写でした。実は原題の'Coco'も最高のタイトルで、全て観終わった後にこの名前を思い出すと更にグッときます。
メキシカンなギターの音色も耳触りが良くて、とにかく心癒されること間違いなし。

ありとあらゆるテーマが詰まった一本、一度でも大事な人を亡くしたことのある方はきっと感じるものがあるはずです。いやー、改めてディズニー作品はすごい...!!
エンドロールの後含め、計4回私は泣いたので皆さんもハンカチはお忘れなく!(笑)
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