垂直落下式サミング

リメンバー・ミーの垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

リメンバー・ミー(2017年製作の映画)
3.5
自分のレビューを読み返してみたら、けっこうオチとかまで書いちゃってるのが多かったんで、劇場公開中の映画については少し待ってから書くようにしてる。と言っても最近あんまり新作映画はみれていないんだけど、本作については思うところあって、記憶がハッキリしていて体験として温かいうちに書き残しておきたい。
ピクサーブランドに疑いはないのだけど、本作はちょっと怖い映画だと感じた。
この映画、悪役の扱いが容赦ない。ネタバレになるので、その人のことは仮に佐村河内さんとするが、その佐村河内さんは、物語のなかで主人公を助けてくれる人物、これもネタバレなので、この人のことは新垣さんと呼ぶこととして、中盤で生前の佐村河内さんが新垣さんから卑劣な手段でもってあるものを奪ったというのが明らかになるのだけど、それが露呈したときの断罪のされかたがエグすぎて、びっくりしてしまった。悪が裁かれるのは別にいいのだけど、この重さは子供向けアニメ映画のトーンにあっていない気がする。
そりゃあ確かに佐村河内さんは悪い奴なんだけど、いや、そんなに悪人をフルボッコにしないと気が済まないもんかな。悪い奴になら何してもいいのか?って疑問だし、演出で強調しないようにしてるけど、正義の執行という免罪符を得て佐村河内さんに安心して石を投げる群衆という絵がどうしてもこわい。なまじ前半であの世の設定が良く描かれているだけに、あのゾッとする仕打ちをみせられてしまうと、尋常じゃない張り裂け度合いで新垣さん救済の裏側にある佐村河内さんの地獄が想像されて、世界の欺瞞性のようなものが浮かび上がって見えてしまった。教訓としては正しいんだけど、ちょっと怖いんですよね。身も蓋もなく正しすぎて怖い。
でも、歌唱シーンではつけていた花粉症用のマスクが涙で水没したので、いい映画だったと思う。
私は花粉症を理由に今年も墓参りに行かなかった罰当たりな人間だが、人並みに常識的なことは心得ているつもりなので負い目がないわけではなく、ご先祖さま方には腹を切って詫びたいと思っている(思っているだけ)。でも、これは決してめんどくさいとかではなく、ご先祖様的にも俺が花粉症で鼻つまらせて死んでも嫌だと思うし、外に出ると重度のアレルギー症状が予想されることによる自発的ドクターストップがなされた結果であり、むしろ理にかなった妥当性のある罰当たり行為なので、これはもうしょうがないんですよ(屑)。