もっちゃん

リメンバー・ミーのもっちゃんのレビュー・感想・評価

リメンバー・ミー(2017年製作の映画)
3.5
ピクサー史上一番泣けるという評判もちらほら。
いや実際、脚本も音楽も良かったので言い過ぎとまでは思わないんだけど、この映画で泣ける人って、いい家庭で育ったんだろうなぁと思ってしまうのはひがみでしょうか笑

個人的にはこの映画には主人公がふたりいるように感じた。

≪ミゲル≫
国民的ミュージシャンの故≪エルネスト・デラクルス≫に憧れ、家族内の音楽禁止という"戒律"ともいうべき猛反対を受けつつも、ミュージシャンを志す。

≪ママココ≫
ミゲルのひいおばあちゃん。
御歳100近くを数え、自分の娘をはじめ家族が認識できず認知症と見受けられる。


"家族"をメインテーマとしてみると、主人公のミゲルはストーリーテラーのような存在で、ママココ(と娘)を真の主人公として捉えた方が自分は心動かされる。

ママココの娘(ミゲルのおばあちゃん)は、認知症のママココから別の人と間違えられてしまう。
本作で描かれる"死後の世界"では、生きている人たちから「忘れられること」が"二度目の死"という設定。
注目したいのは、おばあちゃんは生きながらにして、実の母であるママココに忘れられてしまっているのだ。
本作の表現を借りれば「生きているのに死んでいる」と言ってもいいだろう。そしてそれが娘にとってどんなに悲しいことか。

また、ママココは子どものとき、父親が家族を捨て出て行ってしまっているため、母親とふたりきりで育ったという寂しさの中、一世紀近く生きている。

ミゲルの家庭は一見、事業で成功を収め賑やかで幸せそうな大家族だが、影を落とす部分もある。

その中で、ママココと父親の唯一と言ってもいい思い出であり、ママココと父親を繋ぐ歌『リメンバーミー』が、彼女たちの寂しさ、悲しさを振り払うラストは、本作のハイライトでありカタルシスを得れるシーンで印象深い。
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