緑雨

リメンバー・ミーの緑雨のレビュー・感想・評価

リメンバー・ミー(2017年製作の映画)
4.5
メキシコの「死者の日」は『007 スペクター』のオープニングでも設定に採り上げられていた。宗教的意味が「お盆」とほぼ同じなので日本人の観客には馴染みやすい風習である上に、ラテンならではの陽気さがあいまって、とても魅力的な映画の舞台となっている。

色とりどりに墓参りをする人々と死者たちの間を、ミゲルが突っ走るシーンのスピード感と鮮やかさに目を奪われる。「死者の国」の壮麗で猥雑な造形にも高揚するが、中盤はやや中弛み。が、デラクルスに辿りついてから物語の疾走感のギアが上がる。クライマックスの真相明かしは見え見えの予定調和だが、幸福感は何物にも代えがたい。
生者の誰からも思い出されなくなることで死者は真に死を迎える。誰もが直感的に理解できるそのテーゼを作劇の根幹に据えたことこそが慧眼。