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リメンバー・ミーのRのネタバレレビュー・内容・結末

リメンバー・ミー(2017年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

自宅で友人1人と。

2018年のピクサー作品。

監督は「トイ・ストーリー3」のリー・アンクリッチとエイドリアン・モリーナ。

あらすじ

昔々、メキシコのサンタ・セシリア出身のある男が音楽家になる夢を諦めきれず、家族を捨て、家を飛び出してしまう。残された妻のママ・イメルダは音楽を嫌うようになり、家族に「音楽禁止の掟」を立ててしまう。そのひ孫で12歳の少年ミゲル・リヴェラは家族には代々の靴屋を受け継ぐことを期待されていたが、密かにミュージシャンになることを夢見ていた。年に一度、他界した先祖が家族には会いにやってくる「死者の日」に町の音楽コンテストで自分の演奏を披露しようとするが、そのことがバレてしまい、祖母に愛用していたギターを破壊されてしまう。どうにかコンテストに出たいミゲルは憧れのスター、エルネスト・デラクルスの墓に忍び込み、彼が使っていたギターを手にすると、そこは死者の国だった。

公開当時、予定と席がいつまで経っても込み込みだったので観れなかった(相変わらずのピクサー人気!!)

で、結局ブルーレイを購入し、鑑賞しました。

最近一番よく見ている映画感想ブログ「シネマ一刀両断」のふかづめさんが仰ってる通り、今作「感想が書きづらい作品」。

というのも、わかっていたことだが、当然のように視覚的にも話し的にも高水準の作品であり、腐すところが見当たらない作品だからだ笑。

でも、やっぱり観たから、そして、案の定良かったから書きたい!!

テーマは「死者の日」ということで、まぁ日本で言うところの「お盆」みたいなもんですわ。けど、このイベント近年「007 スペクター」のように映画でも見かけるようになり、今作きっかけで更に知る人が増えたろうなぁ。もしかして「ハロウィン」みたいに日本でも行事化に発展するかもしれない。

何はともあれ、そんな「死者の日」が近いメキシコの田舎町を舞台にした物語。

主人公のミゲル含めて、登場人物全員がヒスパニック系でアニメーションにおける多国化が進むディズニーの絶妙な着眼点は流石。

つか、ミゲル君!!死者の国に行って、出戻ってくるまでの速さよ笑!!あれは新しかったなぁ。

そんなこんなでギターを盗もうとしたミゲル君は主な舞台となる死者の国で憧れのミュージシャン、エルネスト・デラクルスに許しを得るため(ミュージシャンの夢を諦めないという先約つきで)、道中知り合った
ヘクターと珍道中を繰り広げる。

まず、流石ピクサー、世界観がとにかく良い。まさに桃源郷という感じで建物同士の異質な距離感含めて何処と無く「千と千尋感」もあって、見目鮮やか。

それに加えて、この世界ではガイコツと一緒にカラフルな聖獣「アレブリヘ(メキシコの伝統的な工芸品)」がいるんだけど、「エルマーとりゅう」みたいなポップな異物感でそこら辺のサイドキャラの厚みも最高。レディ・イメルダの愛獣ペビータの現実世界の姿のギャップにも驚いた!

今作、死者の日をテーマにしていることもあって、出てくるキャラクターがみんなガイコツなんだけど、ここまでカラフルなら、あくまでも「子ども向け」なピクサー、主な対象である子どもが観てもほとんど恐怖心は感じないのではなかろうか。

また近年「アナ雪」から強くなっている音楽性も、また素晴らしい。

オーデションシーンで流れるミゲルとヘクターの歌の応酬が心地いい「ウン・ポコ・ロコ」、ラストのデラクルスのコンサートでのレディ・イメルダ(吹き替えの松雪泰子、歌上手っ!!)とデラクルスとのスリリングな影の攻防演出も光る「哀しきジョローナ」など粒ぞろいな楽曲が揃う。

中でも、やっぱり良かったのは表題曲でもある「リメンバー・ミー」。

ミゲルが歌うバージョン、ヘクターが愛娘に歌うバージョン、日本版だけのシシド・カフカfeat東京スカパラダイスオーケストラバージョンと何回流すんだと思われるかもしれないが、それぞれがシーンごとに曲調だったり、歌い手の心情を変えていて、クドさはなかった。

何より1番良かったのは原題でもある「ココ」本人でもある、ミゲルの曽祖母ママ・ココの過ぎ去りし記憶を呼び覚ますためにミゲルが歌う「リメンバー・ミー」。ミゲルの必死な想いがママ・ココの在りし日の記憶を蘇らせ、そして…。それまでピクサー的良作の息を出なかった今作が「傑作」と相成った瞬間だ。音楽の力ってすげぇよ泣。

あと、そんな魅力的なサウンドを盛り上げる歌い手、特に吹き替え版で殆どの曲を歌ったミゲル役の石橋陽彩君、彼はすごい!!調べたらオーデション番組出身で4歳から歌唱力を鍛えていたらしいんだけど、なんだろうあの変声期前のエンジェル・ボイスをフル活用したような感情豊かで伸びのある、最高の歌唱力は!!聞いた人皆、引き込まれるような歌い方だった。

また、ファンタジックな部分だけでなく、「死」を扱ったテーマの作品であることもあって、死者の国での死=「最後の死」と呼ばれる、生前の世界で誰からも思い出してもらえなくなったら消えてしまうというダークで観る人がみたら絶望してしまうようなハードな概念も、ピクサーの多様性で深みのある部分で良かった。いや、中盤の消えちゃった奴悲しすぎるだろ…。

あと、これは完全に個人的な部分なんだけど、ヘクターが俺の友達のN君にものすっごく似てて、感情移入入りまくり、終盤ではお願いだから消えないでくれー、まだ俺が覚えているー!って思っちゃったよ笑。

そんな個人的な灌漑も含めて、やっぱりピクサー恐ろしい!!そしてサイコーな作品でした!!

音楽は素晴らしいっ!!
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