たかた

リメンバー・ミーのたかたのレビュー・感想・評価

リメンバー・ミー(2017年製作の映画)
4.0
昔「TRANSIT」のメキシコ特集号を見て、自国とは異なる死生観、死者の日に興味を持ち、メキシコ横断を決行しました。
盛大に死者を迎え入れようと生者が用意する花=マリーゴールドが本編のキーであったように、ルチャリブレのマスク、マリアッチの音楽、セノーテ的洞窟空間など、メキシコを想起させるものが散りばめられていて、「メキシコにおける死=麻薬カルテル」と多くの日本人が抱くイメージに待ったをかけるように、神話的・寓話的なディズニーのテーマを離れ、メキシコルーツの死生観、死者と生者の戯れを実現しようとする「死者の日」にフォーカスを当てたピクサーには頭が上がりませんね。「神の鉄槌=鐘の落下」とお子様に向けた勧善懲悪の配慮もまた紳士的です。
思えば、記憶を留める手法としての写真、これを現世に持ち込もうとするヘクターと愛娘ココを繋げたのが、写真ではなく一編の歌であったこと、ここだけ切り取るとなんともありふれた物語に陥りがちだと思えますが、それくらいシンプルでいいのかもしれません。写真を見ずともメキシコでの個人的な思い出、テキーラ村での少女/サンミゲル・デ・アジェンデでの元パイロット/モレーリアでのタクシー運転手/メキシコシティのメトロでのおじさま/グアナファトでの新婚夫婦、彼らの姿が鮮明に蘇ってきました。
結構好きな作品でしたので、酷評しているような方々にはいっその事こと「who are you?」と投げ掛けようと心に決めました。忘れてしまいましょう。
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