chako

戦場からのラブレターのchakoのレビュー・感想・評価

戦場からのラブレター(2014年製作の映画)
4.0
第一次世界大戦の最中、従軍看護師として闘い続けた英国の女性作家ヴェラ・ブリデンの自伝小説を映画化した作品。

邦題やジャケットからベタベタなラブストーリーかと思いきや、一人の女性の視点から"戦争"をしっかりと捉えた作品でした。

大切な弟や愛する人が戦地へ赴く。それは国のために命を捧げるという名誉なことなのかもしれない。
けれども、彼女自身も看護師として戦争の悲惨さや恐ろしさを目の当たりにする。
診療所に運ばれてくる兵士の中には敵国の兵士もいる。目の前で傷ついてるその兵士は自分の大切な人の命を奪った者かもしれない。その時彼女は何を思っただろう・・・

ラストシーンの演説で彼女が語った言葉が全てだと思った。
戦争は憎しみしか生まれない。それを伝え続けることが生き残った者の使命であり、二度と同じことを繰り返してはならならいと。

"戦争"という重いテーマはあるものの、 交わされる手紙の文面など作家だけに詩的な表現が多くて切なく美しく仕上がっていたと思います。

故郷の田舎町の美しい景色
希望すら見えない悲惨な戦場で輝くように射し込む天使の梯子
青いスミレ
映像も美しくてどことなくジョー・ライト監督の「つぐない」と雰囲気が似ていて自分好みでした。

主演のアリシア・ヴィキャンデルの可愛さらしさと内面から滲み出る芯の強さがしっかりと活かされていたし、恋人役には「ゲーム・オブ・スローンズ」のキット・ハリントンや彼女の弟役には「キングスマン」で一躍人気俳優となったタロン・エガートンなどの次世代英国俳優たちも出演しているので、英国俳優好きにもぜひおすすめです。
chako

chako