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Cowspiracy: サステイナビリティ(持続可能性)の秘密の雑種のレビュー・感想・評価

3.5
畜産業界における問題点について初めて知ったのは『ドローダウン:地球温暖化を逆転させる100の方法』てゆう本を読んだ時なんだけど、牛とかの反芻動物はメタン排出の最大の要因かつ飼料を育てるためには大量の二酸化炭素を排出するし、糞尿は亜酸化窒素を放出するしで、家畜の牛を一つの国と考えると、温室効果ガス排出してる国ワースト3に入るって書かれてて、人間の欲で過剰に繁殖させられたあげくに環境破壊の重大犯とまで呼ばれる牛さんの気持ちよ…と思ったのを思い出した。サポーターになってる環境保全団体の会報誌読み返しても、確かに水産業に関するトピックスは何度も出てくるけど畜産業について言及してるのって見たことないような…

最終的な解決策が「ヴィーガンになるしかない」だったのが万人向けじゃないし全く実現可能じゃないなぁとガッカリ。そもそもヴィーガン文化がそれほど進んでない日本では肉を買うよりもヴィーガン食を選ぶ方が金銭的ハードルがはるかに高いんよな。だからと言って肉を食べるのがしょうがないという事ではなくて、今すぐにヴィーガンやベジタリアンにはなれなくても、最近は“Reducetarian(リデュースタリアン)=肉食減量主義”という選択肢もあるし、輸入じゃなくて国産(出来れば地元)の肉を食べるとか、劇中では散々disられてたけど、一週間のうちまずは1日だけ肉を食べない日を設けるとかから始めるのも私は良いと思う。そもそもこの監督、何かにつけて批判しかしてなくてエゴの押し付けに感じてしまった。私も出来ることなら自然界にとって100%安心できる世界になって欲しいけど、そんなことは人類が全滅しない限り無理だと思ってるから(早く滅びる事を祈りながら日々生きている人間)、少しでも環境の為にと思って出来ることをしてる人達のことも頭ごなしに否定するのはむしろ譲歩する余地すら奪っているのでは…

インタビューに答えてくれた各団体の人たちに対して詰め寄る感じの質問の仕方も感じ悪いし(政府の人ならまだしも彼らも根っこは環境保全意識からの活動なんだから)、自分の意見と合致しないからってそんな敵視しなくても…。あと“サステナビリティ”というワード自体に過敏になってるような気がした。

なんだか考えが極端な人だなぁと思いながら観てたら終盤でちょいサスペンスな展開になって「自分に何が起きても真実を伝えるべきだと思った」とか言ってて、途端にテーマが『畜産業界の真実』から『畜産業界の真実を暴く自分』にすり替わってて胡散くさ…ってなってしまった。
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