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ピアニストを撃てのatsukiのレビュー・感想・評価

ピアニストを撃て(1960年製作の映画)
4.6
処女作『大人は判ってくれない』から一変、厄介な兄貴と華麗な美女たちや2人組のギャングに翻弄されながら、主人公が人生の追憶と共に辛酸を舐めさせ続けられるフィルム・ノワール。

パルプ的な犯罪小説を下敷きに、ラブロマンスを軸として、ユーモアを散りばめて、またピアニストという造形やおっぱいの歌、そして今作を機にトリュフォー作品には欠かせない存在となるジョルジュ・ドルリューの音楽などでミュージカル調に煮詰める。だから明るくも暗く、楽しくも悲しい。

図らずもか、心情とリンクする荒削りなカメラワークやカット、そしてプロットまでヌーヴェルヴァーグ誕生下、全盛期らしさ溢れる。また臆病な男のナレーションは聞いてるこちらまで遣る瀬無いし、そう思ってるならやればいい。故に、題名の元ネタ「ピアニストは撃たないでください」を聞くとどこまでも皮肉的。
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