ゆず

キングコング:髑髏島の巨神のゆずのレビュー・感想・評価

4.6
「人類よ、立ち向かうな。」
「この島で、人類は最弱。」
もともと期待していた作品をこの二つのキャッチコピーで煽られ、さらに怪獣画師・開田裕治の日本版ポスターで興奮は頂点に。久しぶりに友達を誘って観に行った。期待を超える怪獣バトルに大満足だった。欲を言えば「髑髏島」の読みが「どくろじま」だったら最高だったのだが。「どくろとう」より「どくろじま」の方がワクワクしない?

キングコングは1933年のオリジナル以降、何度も映画が作られている。私が見たことあるのは2005年の作品「キング・コング」(ピーター・ジャクソン監督)だけなのだが、過去の作品を見てなくてもまったく楽しみ方に影響ないくらい、素の面白さで成り立っている。素の面白さとはこの場合、怪獣バトルと髑髏島アドベンチャーのこと。めっちゃでかい○○○○○○とか、めっちゃでかい○○の脚とか、恐怖に晒され続けた結果、人としての何かを失ってしまった民族とか、何十年もの時を超えたリップ・ヴァン・ウィンクルとか。そもそもがリブート作品であり、レジェンダリー・ピクチャーズの<モンスターバース>シリーズの2作目でもあるので、過去作を見てなくても全然大丈夫。ちなみにこの<モンスターバース>、コングと○○○(日本が世界に誇るあの怪獣)を中心に怪獣のクロスオーバーを今後展開していくつもりらしいので、MCUでアイアンマンとキャップが戦っててつら〜い…みたいなシビル・ウォー的展開が、コングVS○○○でもあるかと思う。(←ねえよ)

出演は、凄腕の傭兵のくせして銃よりも刀を振り回した印象しかないトム・ヒドルストン。たまに屈託ない笑顔を見せるカメラ女子ブリー・ラーソン。ジョン・グッドマン、ジョン・C・ライリーなどオジサンたちの布陣も厚い。アジアからはジン・ティエンや歌手のMIYAVIも参加。しかしぶっちゃけ主演俳優はサミュエル・L・ジャクソンだろう。正直言ってトムヒより印象に残ってるし、なんならコングよりも目立ってた気がする。サミュエル演じるパッカード大佐は、ベトナムでの任を終えた帰還兵たちを率いて髑髏島の調査隊に加わる。彼らの主任務は調査と民間人の護衛なのだが、それがコングの登場で調査から攻撃に、護衛から制圧に変わってしまう。変わってしまった…というよりも、どこか大佐は望んでそうなった節がある。ベトナム帰還兵である彼らは、髑髏島の巨神攻略に最後の任務を見出してしまったのだ。生粋の軍人気質というか愚かな人間のエゴというか、とにかくサミュエルが悪役ポジションから熱弁を振るう。それはもうコングやスカルクローラーに次ぐ、最後のモンスターと言っても過言ではない。人間は極限状態でこんなにも狂えるものなのだ。しかしそれをしみじみと感じ入るような映画ではないところが最高である。
ゆず

ゆず