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溺れるナイフのhi1oakiのレビュー・感想・評価

溺れるナイフ(2016年製作の映画)
2.8
冒頭、大森靖子の“絶対彼女”で始まった瞬間に感じたワクワク感、それは物凄い勢いで消えて行く。
現実世界では“何故好きになったか”ということに理由がつけられないのも仕方がない。ただ、恋愛を主軸に置いた創作物でそれを描かなかったら、その後に何が起こっても空虚に見えてしまう。百歩譲って“理由が無い”ことを美徳とした作品だとしても、“理由が無い理由”が無ければダメだと思う。
たまたま出会って好みのルックスだった。そしてドハマり。決別しても見かければまた燃え上がる。主人公2人は饒舌だけどキャラがブレるから結局どういう人間なのかわからない。
菅田将暉と小松菜奈という稀代のカリスマに頼りっきりで、魅力を消費するばかりで何も与えていない。
“お前とおるの面白かったのー”って…え? そうだった?
叫んだり泣いたりしてるけど、結局どれが本当の悩みなの?
ミステリアスなカメラマンも、ただミステリアスなだけ。ほとんどのキャラクターが性格付けのスタート地点に留まっているだけ。
そんな中、上白石萌音は変化・成長していく役を巧く演じているんだけど、正直いなくても成り立ってしまう程度にしか絡まないのが残念。
バッティングセンターとカラオケのシーンはどちらも長回しの危うさとアドリブ的な感じがマッチした名シーン。この作品で唯一株を上げたのは重岡大毅なんじゃないだろうか。彼の出てるシーンはすごく好き。
あと小松菜奈の母親役に市川実和子ってのは、なるほど絶妙だなと思った。
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