スナフキン

フランス組曲のスナフキンのレビュー・感想・評価

フランス組曲(2015年製作の映画)
4.1
登場人物の心の動き、切ない恋心を丁寧に描く佳作。
戦争によって人の本性が見えるとはよく言われますが、この作品も、普段は厳しい姑に遠慮がちなお嬢さんタイプのヒロインが、次第にたくましく成長したり、ナチスより怖い?姑の優しさが見えたり、人間ドラマがよく描かれています。そこに許されない愛が絡んで、小説を読んでいるような重厚さを感じました。

ミシェル・ウィリアムズはこういう役をやらせたら天下一品だし、マティアス・スーナールツの目で語る演技には泣かされる。
そしてそして、クリスチャン・スコット・トーマスがこの作品の成否を決めていると思うほど、彼女の繊細かつ芯の強い演技が光る。
彼女の泣くのをぐっとこらえる演技が好き。

観終わった後に原作者がアウシュビッツで亡くなり、死後60年経って発見された原稿というエピソードを知った。敵国との忍ぶ愛を描くなんて、なんて心の広い度量の大きい人だったんだろうと思うとまた泣けた。