弟二郎

葛城事件の弟二郎のレビュー・感想・評価

葛城事件(2016年製作の映画)
4.7
全く合わなかった「その夜の侍」の監督とあって、やはり語り過ぎる脚本や音楽のテイストは好みではないし、死刑囚との結婚願望を始め描きたいプロットを導く箇所に細かい洞察の粗は感じるものの。他者とは共有できそうもない類の琴線を掻き毟られっぱなし。僕にとっては歴代最強の鬱映画だった。
そのうえ、新境地の新井浩文を筆頭に、南果歩も、田中麗奈も、三浦友和も、そして、なんといっても大衆演劇あがりだという若葉竜也なる俳優が素晴らしく。2016年公開作中、最高にやられた。
どうしてみんな自立しないのだ。と、肉親愛の希薄な僕あたりは思う。面倒くせえよ。それぞれでやってけよ、と。でもこれが東京物語的美意識の延長線上にある、この国のひとつのリアルだと感じた。貴重な映画だと思う。
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