エンポリオ

葛城事件のエンポリオのネタバレレビュー・内容・結末

葛城事件(2016年製作の映画)
4.6

このレビューはネタバレを含みます

ひたすらに剥き出しであるが故に、原型など最早、ない。
映画作品を観ていて普段あまり感じない感覚だが、良質な小説を読んだ読後感に近い状態を、今作鑑賞後に味わった。提起される話題はもちろん、何度か挟み込まれる、言葉の多義性を活用した表現などからも、そのような匂いが醸し出されていたのかもしれない。
葛城一家を構成する家族4人。四者四様の生きかた、また死にかたがある。それぞれの視点があるからこそ、家族としても、またそれはそのままこの映画作品としても、唯一の正義は生まれてこない。また人間が生きるこの世界では、婚約相手の家族、ホシノのような存在などという社会との関わりを断って生きていくことは難しく、視線は更に複層化し交錯する。このようなことを示している点からも非常に現実的な、この作品を現実的と判断するには抵抗がある場合は生活に底流している摂理を表わす性質を備えていると言っても良いだろう、地点に立った作品のように思われた。
弟や妹が出来て兄、姉が両親に甘えられなくなる、という事象は夫にも起き得るのだろうか。
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