葛城事件(2016年製作の映画)

上映日:2016年06月18日

製作国:
  • 日本
  • / 上映時間:120分
    監督
    赤堀雅秋
    原作
    赤堀雅秋
    キャスト
    三浦友和
    南果歩
    新井浩文
    若葉竜也
    田中麗奈
    あらすじ
    親が始めた金物屋を引き継いだ葛城清(三浦友和)は、美しい妻との間に2人の息子も生まれ、念願のマイホームを建てた。思い描いた理想の家庭を作れたはずだった。しかし、清の思いの強さは、気づかぬうちに家族を抑圧的に支配するようになる。長男・保(新井浩文)は、幼い頃から従順でよくできた子供だったが、対人関係に悩み、会社からのリストラを誰にも言い出せずにいた。堪え性がなく、アルバイトも長続きしない次男・稔(若葉竜也)は、ことあるごとに清にそれを責められ、理不尽な思いを募らせている。清に言動を抑圧され、思考停止のまま過ごしていた妻・伸子(南果歩)は、ある日、清への不満が爆発してしまい、稔を連れて家出する。そして、迎えた家族の修羅場・・・。葛城家は一気に崩壊へと向かっていく―

    「葛城事件」に投稿された感想・評価

    ふるか
    3.0
    ひたすら暗い。まともな神経の人がほとんどいないというか、良い人だな〜って思う登場人物がほんとにいない。じとーっとした空気で最後まで見れるくらいおもしろいのはおもしろいんだけど、陰鬱な邦画〜って感じなので見るタイミングは選んだ方が良い。
    家族全員ヤバイ奴。
    家族ものは、一旦、関係性が崩壊し、再生というのがある程度のストーリーラインだが、今作は崩壊という部分に全てを注ぎ込んでいる。

    終始ダウナーな雰囲気を纏っているし、シーンの起伏も感情面ではマイナスの起伏なのでオススメはしないが、シーンの長回しなど、見どころは多々ある。
    また、今作では食べるという行為が、生を諦めると同時に自ら死へは近づけないことを意味している。

    時系列が過去と未来を交互に挟んでいるが、正直そうする必要性を感じなかった。
    ある意味、どの登場人物に対しても共感しないので、人によっては物語に入り込めないかもしれないが、端から見る胸糞シーンもまた一興ではないだろうか。

    このレビューはネタバレを含みます

    今の日本が根本的に抱えている問題に真正面から向き合った作品。

    今作がすごいのは、昭和的な価値観にしがみついた父親と、それに服従するしかない妻、優秀で従順だが空っぽな長男と、劣等感だけ植え付けられた次男というあまりにもリアルな家族像を描いているというだけではない。
    より重要なのは、一家が完全に破綻する前に再生するチャンスはあったにも関わらず、父親の圧倒的な傲慢さによってそれがちゃんと省みられることなく幕引きされてしまったということを丁寧に描いていることである。

    これは、90年代初頭からほころびを見せながらも今もなお自民党に頼っている日本に符合するようであり、東日本大震災によって原発の危険性を目の当たりにしてもなお抜本的な見直しができない日本の姿を重ねてしまう。

    父親は自分の行為を一切省みることなく、息子にすべての罪を押し付ける。
    そして自分さえ死ねばいいという息子の姿を通して、観客は本当に彼が死ねばそれでいいのか?と思わざるをえない。

    田中麗奈は盲信的な博愛主義者のように描かれ、滑稽に見える半面、彼女こそが死刑制度の廃止を望んでいる。

    彼女があなたにどう見えるか?
    あなたは死刑制度をどう思うか?

    いじわるなのは最終番。田中麗奈の言葉をきっかけに父親は自殺を図る。
    ちなみにここでは明らかに日本の死刑が絞首刑であることが意識されている。
    そして、それが失敗に終わり、その後も残ったそばをすするところに日本の現状がある。

    キャスティングも完璧だし、大傑作だと思う。
    ratstalus
    4.2
    家庭の歪みが生んだ悲劇を描いた物語。悲劇というとお涙頂戴な表現にもなってしまうがそんな生ぬるい映画ではない。ひたすらに現実で淡白で身近。家族全員が加害者で被害者。誰が悪いとかそういうものではないが、父がいない3人で最後の晩餐に何食べたいかを話すシーンが凄く良い家族に見えて、全員が交わると負の感情が芽生え、1人が欠けると上手くいく。そんな家族愛へのアンチテーゼを描いてる側面もある。
    minacco
    3.1
    三浦友和もスゴいけど、若宮くんのニート感もスゴイ。
    終始モヤモヤしてた。
    みんなどこか壊れてる葛城家の人々。どこからおかしくなってしまったのか、普通に生活している家族にもあり得そうでこわい。
    色々考えさせられる…
    宅間守の附属池田小事件がベースになっているけどどこにでもある一つの家族が崩壊する過程を描いた作品。父親の理想と母親、次男の意識の間のズレが日々を経るごとに大きくなって最終的な崩壊に至った。ただこういった家族内でのズレやベクトルの違いってのはどこの家族にもあること。事件が起きればマスコミも周囲の人々もその特殊性や変異性ばかりを取り上げるけどこうした狂気の種は意外と身近にあって、決して他人事で済ませられる話ではないということを教えてくれる。
    死刑廃止論者のあの女はよくわからない。救いたいとか人間の可能性を信じたいとか言っておいてあれはどうなのかな?真面目な人なんだろうけど、やっぱり偽善だと思う。
    演出も極めて登場人物の心情を理解しやすくなるようになされていたし演技はみなさん素晴らしくてよかった。
    なにか教訓めいたものをえられるわけでなく、最後に救いがあるわけでもない。
    胸糞悪い物語を淡々と描写しつづける。にもかかわらず、これはフィクションなんだと完全にはわりきれない。
    こういう映画類が日本の縮図なのかは別として、邦画はこういう映画を作るのが本当にうまい。
    いつかこういう映画をみても理解できないフィクションとしては興味深いと言われるようになると良いな。
    不快な気持ちがずーっと続く。その不快さ、葛城一家の様子に覚えがあるからより不快。これは全く他人事じゃない。
    噂話の好きな近所のオバさんの気持ちが一番分からない。俳優陣の演技の見応え。自分をどうすればいいか分からないって一番苦しいことなんじゃないか。最後に残るのは虚無。
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