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お父さんと伊藤さんのなのレビュー・感想・評価

お父さんと伊藤さん(2015年製作の映画)
3.0
原作が好きで。

小説の伊藤さんは、なぜかイメージ「いっくん」(ELTの)で読んでいたから、脳内キャスティングとのギャップに少し戸惑う。とはいえ観ればリリーさんでオーケー。
フラットな気持ちで受け入れられたのは上野さん、そして予想を上回るよさを醸し出してくれたのは藤さん。「〜かな!」のクセがしっくりと可愛い。

何でも言い合える関係であるべき家族こそが「嫌だ」と思いながら「そんなことない」と口にし、ふつうは遠慮しがちな他人が腹ではそこそこ許容しつつ「嫌です」とキッパリ直球を投げる。義務を負う者が回避したがり、大抵は難色を示すはずの者が責を担ってもよさそうにしている。この距離感と関係性の歪みが、私には面白い。

スプーンの視覚化が美しかったのと、ウースターのくだりをアッサリいったのが映像の語りの力だなあと、しみじみ。
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