Inagaquilala

破門 ふたりのヤクビョーガミのInagaquilalaのレビュー・感想・評価

3.8
今年2本目の邦画。主演のふたり、佐々木蔵之助と横山裕がいいコンビだ。漫才で言えば、ヤクザの桑原役の佐々木がツッコミ、うだつのあがらない建設コンサルタントの二宮役の横山がボケ、このどちらもコテコテの関西人らしく、絶妙の大阪弁でコミカルな演技を繰り広げる。

父親がヤクザだったのだが自分は堅気、とはいっても「サバキ」という建設現場の暴力団対策を生業としている二宮は、この仕事で知り合ったヤクザの桑原に「疫病神」のようにつきまとわれており、いつもトラブルの渦中に投げ込まれている。

桑原から逃げたしたい二宮なのだが、子分からは慕われるこの「疫病神」とはなかなか縁を切ることができない。そこに「サバキ」について教えてくれないかという映画プロデューサー小清水からの依頼が来て、二宮は桑原と会いに行く。

小清水は映画への出資話を持ちかけ、よかったら出演しないかという甘い言葉につられ桑原は出資してしまう。ところがこの映画の話は真っ赤な嘘で、その裏には他の組の暴力団も絡み、二宮も巻き込まれ、愛人と逃げた映画プロデューサーをマカオまで追いかけていくことになる。

とにかく関ジャニ∞の横山裕の人を食ったようなボケの演技が最高。関西人特有の独特の間の取り方で、やたら強面の佐々木蔵之助と対等の芝居をしている。このコンビで今後シリーズ化もできるのではないかというナイス・バディぶりだ。

2時間近くあり、いろいろ物語は展開するのだが、このバディぶりを観ているだけで、とりあえず飽きることはない。

二宮の悪夢シーンが2度でてくるが、これはあまりこの作品には必要ない。それと最後の二宮が車で殴り込みに行くシーンだが、無用に盛り上げすぎで、ややうっとおしい。

というように整理が必要なところはあるが、基本はこのコンビの掛け合いが実に面白く、最近にはないバディものの秀作かもしれない。監督の小林聖太郎さんは上岡龍太郎さんの息子さんだということだ。
Inagaquilala

Inagaquilala