ヒノモト

ハッピーエンドのヒノモトのレビュー・感想・評価

ハッピーエンド(2017年製作の映画)
3.8
体調の関係で新作映画を見送ったため、自宅で不穏な映画を観てます。
現時点でのミヒャエル・ハネケ監督の最新作を初鑑賞。
全部観る案件「ストーリー・オブ・フィルム」紹介作品でもありました。

初見では、若干人間関係の分かりにくさはあったものの、相変わらず冷ややかな視点で、人と人の不寛容さ、無関心さを的確にえぐり出してました。

スマートフォンによる縦長映像を撮る行為の無自覚な残酷さが、最初と最後で繋がるつくりになっていて、85歳の家長ジョルジュと13歳の孫娘エヴの共通項も衝撃でした。

精神的な病の描き方は、個人により大きな開きがあるので、説得力のある表現や展開と言い切れない部分もありますが、微妙なディスコミュニケーションな状況やチャットだけが続くシーンなど、現代的なヴィジョンに合わせた作品づくりに関与していて、全く古びたところがないのが驚きでした。

肝心な場面を省略して、時間を経過させているので、少し分かりにくいところもありましたが、物語を自ら紡いでいく役割のエヴの行動に著名な俳優陣が振り回される様が不穏な面白みに繋がっていて、最後まで楽しめました。
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