Masato

ハッピーエンドのMasatoのレビュー・感想・評価

ハッピーエンド(2017年製作の映画)
3.3

ミヒャエル・ハネケ監督作品

難民が多く集まるフランスのカレーを舞台に様々な問題を抱えるブルジョワの家族を描いたドラマ。

いくつかハネケの作品は見ているが、その中でもかなり難しい部類。基本的には家族のドラマを描いているだけなので、何を伝えたいのかが理解できず…あえて分からないようにしているのか、灯台下暗しで逆に考えすぎなのか…。

ちょろっとみんなの感想を読んで思いついたのは、ネット社会になって家族の中のそれぞれの抱えるものがお互いに気づきにくくなっているということ。もとから悩みを隠すことは人間誰しもあるけれども、それがより強くなってきている。ネットという広大な海に秘密をさらけ出すことで本当に悩みが見えなくなってきている。

最近の自殺関係とかも、本当に死ぬときまでどれだけ思い詰めていたかわからないもんね。ディスコネクトみたいな話。

あと、孫娘と祖父の会話で出てきた画面越しと現実の違いというのもひとつ。画面越しの事実ばかり得られて、実際の体験する事実は相対的に減ってきている。たびたび挿入されるスマホの画面は画面越しだと滑稽にしか感じないものも、実際に起きたら切迫したものであると感じさせるシーンだった。前に「タイム・オブ・ザ・ウルフ」を監督した時も同じようなこと言ってたけど、そのテーマを現代的にアップデートしたものだと思う。

インタビューで語られていた「自分たちの小さな問題にばかり捕われていて、社会の現実が見えていない。」ということも、「隠された記憶」が周囲の社会に無頓着だった主人公が過去の記憶と共に気づくような話だったし、描きたいことは前から変わっていないのかも。

にしても説明なさすぎて辛い…さすがハネケだ。ハムスターを殺すところから始まるとかまじで意地悪すぎる。
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