我が手に残された現実と呼んでいたものは、もはや現実ということのできない世界だったのかと空恐ろしくなり、目が合う人全員に こっち見んじゃねぇよ!と高架下の酔っ払いのごとく唾を吐きかけてやりたくなる。何にもない空虚、居心地が悪いなあ、みんなもわたしも嘘つきで、すし詰め電車で密着してるお姉さんはもってのほか、家族や恋人のことだって何一つわからなくて、ほんとのことなんかもうないのかもしれねえなあ、やってらんねえなあ。そんな美しい世界で、どうしてこんなしゃかりきんなって生きてんだろ。
後味の悪さなんか感じない、ただただ虚無。
ハネケのこと、大っ嫌いで大好きで、そんな自分のこと、きらいです。