東朴幕院

ハッピーエンドの東朴幕院のレビュー・感想・評価

ハッピーエンド(2017年製作の映画)
3.8
ミヒャエル・ハネケの新作を時期が遅れてしまったが、弐番館的な劇場で鑑賞。
期待通り鬱な作品で嬉しくなってしまった。
冒頭のスマホで撮影しながらのナレーションとその後の行為により、人間の黒い部分を描く事をしますよ、と宣言するかの様な展開で思わず身構えてしまった。
物語の実質の主人公である少女 エヴ、再婚した父親は浮気してる様子、その姉は息子を溺愛してスポイル、使用人の娘が犬に噛まれて怪我をしても深刻にならない程に情が薄い。その息子は自分に自信が無いが、黒い感情がある訳ではなさそう。そして祖父は.....。
一番、黒くてぞっとするのは、やはりエヴで唯一感情を表に出す場面が、父の車の中で、毒を盛られて入院した母を思って涙する場面だけだという事。
映画タイトルの『ハッピーエンド』などある訳は無く、黒い感情の人間もそれなりに生活していくだろうし、周りにも居るっていう事で非常にシニカルのスパイスが効いたものだ。
ラストのスマホ画面を通したイザベル・ユペールの表情が印象的でブラック過ぎて笑ってしまった。
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