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ハッピーエンドのhorryのレビュー・感想・評価

ハッピーエンド(2017年製作の映画)
5.0
監督が監督だし、タイトルも、やたら明るい(でもよく見れば奇妙な)フライヤーからも、「嫌な感じ」の作品だろうと思ってたけど、やっぱりキツかった。

ふんだんに映画のテクニックが使われてる。何回か出てくる鏡のシーンとか、サスペンス的な後ろ姿を接写で追うシーンとか、光から影への移行とか。
でも、一番印象的だったのが「音」。ものすごく細かな音まで作り込んでいる場面と、音を抜いてるシーンの緩急の付け方がドラマティックで。

「音」が印象的だった最近の映画といえば、「サウルの息子」と「サンドラの週末」だけど、また違ったタイプの「音」の構成だった。

物語としては、力のあるものが弱い者を支配し抑え込むことが、これでもかと詰め込まれ、強者がためらいさえ見せないあたりが、見事に感じ悪い。

孫と祖父は、殺人と自死で繋がっているけれど、あの家族の中で力がないということは、そこに向かうしかないだろうな。

スマホ動画やfbの使い方も、負の側面しか書いてなくて、これも感じ悪い。

感じの悪さをベースにした社会批判が、シャープな映像美と、冴えた音の構成で積み上げられていく作品。緊張感も素晴らしかった。
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