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ハッピーエンドのwantaroのレビュー・感想・評価

ハッピーエンド(2017年製作の映画)
3.7
暗い…人の闇が重い。少女から老人まで、登場人物みんなの闇が漂う映画。
闇とは見ていて愉快なものではないけれど、一応は素直な個人の感情なわけで、ある意味ピュアだと思う。
表に出せない(出さない)から闇になる。

その闇の代償はSNS上での自分が代わりにアクションを起こすこと、のように描かれる。現実が嘘で、SNSがリアルになるほど、冷え切った現実。

あえて音声の届かない遠景からの長回しを数回使っていて、視聴者に考えさせるようにしてあったのが印象的。
全ては他人事。そんなメッセージを強調しているかのように思えた。
自分の闇に逃げ込んで個々が孤立し、他者への無関心が顕著になっている社会。そんな感じ。

移民・難民の多いカレーという街には、多様な人種がいる。使用人や街のゴロツキ役にも、そういった人々が使われている。
彼らは排斥こそされていないが、差別されている現場を皆が見ないふりするシーンなどがあった。見ていて居心地の悪いこと悪いこと。

あくまで私の意見ですが
今、多分世界規模で「個の確立→他者への無関心」的な変化が起きつつあると思う。その裏にはいい変化も悪い変化もあって、ただ批判すればいいってものではないけれど、ゆっくり時代は変わっていくんだと、この映画にも思わされた。
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