ハル

ハッピーエンドのハルのレビュー・感想・評価

ハッピーエンド(2017年製作の映画)
3.6
傍目には普通そうに見えているけれども実は家族としての体を成していない家族が存在するとしたら、それは機能不全家族と呼んで差し支えない。

映画は様々な機能不全家族を描いてきたが、今作「ハッピーエンド」に描かれたそれは、今までの比ではない。
  

物語は少女がハムスターを毒殺したうえ母親を入院させるというショッキングなシーンから始まる。彼女は父方の祖父(「暗殺の森」でファシストの青年を演じていた人)を大黒柱とする家族に受け入れられるのだが、話が進むにつれて、こいつらの異常っぷりが明らかになっていく。そして、クライマックス。ある騒動を起こした少女が祖父のもとを訪れ、互いに秘密を告白する。この時、彼らは互いの中に利害の一致を見るのである。

さて、ここまで書いたところで、この作品が一体誰の「ハッピーエンド」を描こうとしているのか、察しの良い方ならもうお分かりだろう。それはご自身の目で確かめていただきたい。

一通り観た後の感想だが、この映画は「エンド」というよりは、むしろ、「エンドのその後」を想像する話ではないだろうか。ちなみに私は「エンドのその後」を想像して暗澹たる気持ちになったのだった。
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