"ファニーゲーム"のM・ハネケ監督作品。
"ファニーゲーム"に「ファニーゲーム」というタイトルをつけてしまうくらいなので、"ハッピーエンド"というタイトルで「ハッピーエンド」を想像する人は多分いないはず。
しかしながら、本作はバッドエンドでもなければハッピーエンドとも言い切れない、観る人によって変わる作品だったのではないかなぁと思った。
オープニングとエンディングにスマホの縦長動画が挟まれるのであくまで世俗的であり、相変わらずの長回しにより映画的な作りではなかった。
淡々とロラン家の家族関係を見せられるだけで、特に何かが起こるわけでも衝撃的な展開があるわけでもない。その中でロラン家にとって、というより祖父と孫娘にとってなにが「ハッピーエンド」だったのかを推し量るのは難しい。
秘密を共有したことにより、祖父と孫娘には何か特別な繋がりができたのか、繋がりを感じたのかは分からないけれど、孫娘が最後に祖父をスマホで動画に撮ることで、孫娘は祖父に対して何かしらのことを思っていたのは間違いないと思う。
「ここでもし終わったらモヤモヤするけど、終わってしまうんだろうなぁ」と思った瞬間に暗転したので、やはりハネケ監督はそういう作品を作るんだなと。
"愛、アムール"はまだ鑑賞してないけど、映画好きの友人がその話をしていたので、ある意味で"愛、アムール"の続編ともとれる作品だったのではないでしょうか。
SNSや移民など、意外にも世俗的なメッセージも強く、それをなんとも言えない家族関係で包んだ作品だったと感じました。
家族の不和を、食卓の沈黙と食器の擦れ合う音で表現する演出がとても良かったです。
F・アルドゥアンの美しさが素晴らしい。