「なんていうか、お前の心が見えない」
いつものハネケ映画。
“対話なき世界”
そこに今作『ハッピーエンド』にはSNSという要素が加わる。
正直、SNSを取り上げたことによって一個人の問題からやけに距離の近い社会的な問題へと妙に広がりをもってしまい、いつものハネケ映画より陳腐になってしまったように個人的には思う。（いやでもSia の『Chandelier』を歌って踊るシーンからいってもわざと陳腐・滑稽にしてるかも）
今 語るべきこと、としてハネケ監督は取り上げたのだろうから私の好みの問題ですが。
SNSに曝け出す“心”
生々しく、かつ体温は低い。
記録されることによって鮮度が失われてしまうのだろうか。
やはりSNSは〈発信〉（または受信）であって、〈対話〉足り得ないのだろうと思う。
また、体温を持った現実に触れた時に感じる底冷えからの逃避行動なのかもしれない。
だとするならSNSは避難場所（ハネケ曰く教会の懺悔室）でもある。
しかしあくまで自分自身を騙せるツールとしてSNSを見つめるハネケの冷徹な視線。
やっぱり諦めが悪い人だなあって思う。
どこまでも対話を求める。
そして敬意を。
通り一遍の「いいね！」なんかじゃなく。
…厳しい人だな。
もっともっと長生きして沢山の映画を撮って欲しいな。
