先祖代々受け継がれてきた羊たちの牧場を経営する兄キディと弟グミーの老兄弟は、余りにも仲が悪く牧場も二つに分けて経営しており、おまけに40年以上まともに口すら利いていない状況だった。そんなある日、キディの牧場の羊が疫病に罹っていることが分かり……というお話。
羊で生計を立てている村の人々にとって、羊を全滅させかねない疫病の存在は死活問題であり廃業の話すら持ち上がってくるが、古くから繋がってきた羊の血を途絶えさせたくないキディは殺処分せよとの獣医の命にも背いて反発し、親から牧場を受け継いだ際に名義を自分としていた弟のグミーは、勝手な行動をする兄にまた腹を立ててどんどん兄弟仲は冷え込んでいく。
公式サイトの紹介とか見るとシュールなコメディみたいな印象を受けるが、どっちかと言ったら田舎の閉塞的な環境でどん詰まりになる人々の話で、結構ヘビーな空気感の映画だったりする。
とは言え面白いシーンも確かにあって、意地の張り合いが極限に達している兄弟は会話もしたくないので隣に住んでるのにわざわざ牧羊犬に手紙を運ばせたり、道で倒れている相手を見たら触ることすら嫌なのかとんでもない方法で病院まで運んだり（打ち捨てるように病院の玄関に捨ててくのが笑える）、わりとめちゃくちゃやってるのが可笑しい。
後、北欧ならではなのか、独居老人の家なのに壁紙とかがやたら可愛らしいのもちょっと面白かった。
最終的には立ち切れない血のつながりや兄弟愛を感じさせるようなところに落ち着いていくんだけど、そこに至るまでのタメが少なかったような気もして、ラストシーンも感動的ではあるんだけど、ちょっと唐突にな感じもしたかな。
(2020.78)
