MasaichiYaguchi

カンパイ!世界が恋する日本酒のMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

3.6
朝晩冷え込んでくると、鍋料理や熱燗が恋しくなってくる。
とはいえお酒の飲用動向を見てみると、日本酒を飲む頻度は減少傾向にあるようだ。
そんな中、20~30代女子が日常的に飲む傾向が増加していたり、海外での需要も伸びてきている。
そんな日本酒の現状をハリウッド外国人記者クラブ所属の映画ジャーナリストでフィルムメイカーの小西未来さんが監督・脚本・撮影・製作したドキュメンタリーでは、業界を牽引する3人、岩手の酒造・南部美人の5代目蔵元・久慈浩介氏、鎌倉在住の米ジャーナリストのジョン・ゴントナー氏、京都・木下酒造の初の外国人杜氏のフィリップ・ハーバー氏を取り上げて、世界に通用する日本酒の魅力を映し出していく。
本作で取り上げられた3人は、当初からやる気満々で日本酒の世界に飛び込んだ訳ではなく、成行きで係わり、その中で清酒の魅力に取り込まれて積極的に係わるようになっていく。
酒造の世界は歴史と伝統、徒弟制度があって閉鎖的な世界だと思うが、この3人は自らの情熱や熱意で道を切り開いてイノベーションを起こしている。
その最大の特長が、世界に向けて日本酒の魅力を発信し続けるということ。
彼らはセミナーや品評会で紹介するだけでなく、SNSで発信したり、英語で記された本を発刊したりして、日本酒の歴史や種類、その製造過程、そして魅力を広く知らしめていく。
2015年製作の本作では2011年に発生した東日本大震災についても言及している。
震災によって東北地方の酒造メイカーが被った被害、地震や津波による直接的被害、その後の自粛ムードによる被害を映画はレポートする。
そんなダメージの中でも、久慈浩介氏の南部美人をはじめとした東北の酒造メイカーは負けずに立ち上がっていく。
2020年はオリンピックイヤーで世界各国から様々な人々が来日するが、日本の魅力の中で、未だ未だ認知度が低い日本酒の魅力に触れる方が多ければと思う。