ちろる

7s セブンスのちろるのレビュー・感想・評価

7s セブンス(2015年製作の映画)
3.7
若さ故の熱情は時に人を傷つけ、取り返しのつかない後悔を生む。
私には映画を作った経験がないし、死ぬほどチームワークを求められる部活には行ったこともないけれど、それでもこれまでの人生の節々にあるなんらかの古傷がちょっと痛めつけられるような気分になったのはなぜだろう?
新人監督賞を撮ったサワダと若い劇団員たちがサワダの働く居酒屋で出会った事からインディーズ映画の製作の話がとんとん拍子に進んでいくのだが・・・
サワダは熱が入りすぎて横暴になり、一人また一人とメンバーが消えていく。
自業自得と言えばそれまでなのだが、ここまで狂ったように何かに打ち込める人間を私はただただ羨ましいと思う。
多分、私はこれを観てズキっとしたのは、ここに出てくる登場人物の痛々しさに同調したのではなく、わたしは彼らほどに死ぬ気になって本気で何かに打ち込んできたわけではないからなのかもしれない。
キラキラした大人の青春物語であれば、心を踊らせて、わたしが歩むことのがなかった世界を追体験して楽しむことが出来ただろうに、そうはさせない藤井監督はやっぱり少しいじわるだから抉ってくるのだ。
引っかかっていたこと、やり遂げられなかった何かは大人になれば皆一つ二つあるものだから、多分これを観ていろんなズキっとした痛みを感じられるはず。
役者目指してる人、製作目指してる人にはよりリアルに感じられるお話なのかもしれません。
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