ピノコ

ガタカのピノコのレビュー・感想・評価

ガタカ(1997年製作の映画)
5.0
【ストーリー】
出生前の遺伝子操作により,生まれながらに優れた知能と体力と外見を持った「適正者」と,欠陥のある遺伝子を持ちうる自然出産により産まれた「不適正者」との間で厳格な社会的差別がある近未来。
「不適正者」の主人公ヴィンセント(イーサン・ホーク)は,生まれた瞬間に看護師によって「心臓に欠陥があるために30歳までしか生きられないだろう」と告げられる。成長するにつれ,「適正者」である弟との身体能力の差が顕著となり,劣等感を抱える辛い少年期を過ごす。宇宙飛行士になるという夢も,「不適正者」のヴィンセントには諦めるしかないように思えたが,「適正者」ジェローム(ジュード・ロウ)の血液などを買い取り,生体偽装によりジェロームになりすますという方法によって,夢の宇宙飛行士への道が開けた。
念願の土星への出発間近,上司が何者かに殺される。その事件現場で「不適正者」ヴィンセントのまつ毛が発見された事から,正体発覚の危機が訪れる…。

【キャスト】
ジュード・ロウがかっこよすぎる!優秀な遺伝子を持つ最高傑作の人間役はハマリ役。

【感想】
「現在ではあり得ないが,未来にはあり得そうな社会」という近未来設定が生きたSF。
例えば映画の世界では,血液検査によって発病の可能性が高い病気を知ったり,人口受精の際に性別や瞳の色などを選ぶことができる。キスで恋人の唾液を採取して,遺伝子に点数をつけることも可能だ。現在はまだここまでの技術はないが,今後は可能になる日も訪れそうだ。
もし遺伝子の選別が可能となり,欠陥のある遺伝子を除去できるようになれば,「うちの子には五体満足であって欲しい」と誰もが行うだろう。そしてさらに「うちの子が勉強もスポーツも優秀だったらいい」と,遺伝子の選別や組み換えも行うだろう。 …今でも、身長、学歴、収入、外見などで点数をつけることは可能だけれど,遺伝子の点数はあまりに無情だ。
…私の知人に,頭はハゲているけれど,Tシャツの襟ぐりから胸毛がはみ出している人がいる…こんな時,遺伝子の無常を感じずにはいられない。
この映画のテーマは,「人間の可能性」「努力」「命」「生と性」「差別」「神」「愛」「運命」…と,私の思いつくかぎりでもこんなに多く,考えさせられることが多かった。私の頭はショート寸前。


確かに肉体的な差は遺伝子によって粗方決まるかもしれないが,「運」「経験」「精神」が人間を大きく変化させ,それこそが人生の面白みなのだろう。

【名言】
「欠点をさがすことばかりに必死になっているから,本当のことが見えなくなるんだ。」
反省させられた言葉。相手に対してももちろんだが,自分自身に対しても,欠点を嘆くばかりではなく長所を伸ばすような生き方をしたい。
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