村上竜一郎

ガタカの村上竜一郎のレビュー・感想・評価

ガタカ(1997年製作の映画)
3.6
神映画と謳われる理由は?
愛の結晶として産まれたビンセント。
ジェロームの遺伝子は極めて優秀だが、事故によって金メダルの夢は絶えた。
ジェロームは事故の当時、シラフだったと後に語った。自殺に失敗したんだ。銀メダルの自分を受け入れられなかったのか。
死に切れず、酒とタバコに溺れたジェロームも、ビンセントとの出会いをきっかけに違う人生を歩み始める。
遺伝子に恵まれなかったものが、遺伝子に恵まれたものしか認められない残酷な世界で、夢を掴もうと奮闘する。
宇宙の話をするビンセントの目が輝くのを、ジェロームは何回も見ただろう。宇宙の話を聞くのが好きになっただろう。
ジェロームは生まれながらにして優秀だった。自分が優秀なのは当然なことだった。だが、自分の人生ではもう勝てない。
ビンセントは違う。次第に尊敬の念が湧く。
宇宙へ行く夢を、一緒に見始めた。
ジェロームの献身的な言動や、ビンセントを信じる心が素敵。
ビンセントが宇宙へ旅立つ前、ジェロームは「旅に出る」と嘘をつく。
ビンセントは気づかない。ジェロームがどれだけ共に夢を見てきたか。優しくも心配させまいと嘘をついたことに。
焼却炉で自殺する。夢を叶え、死に切れなかったあの時の思いをメダルに抱いたまま。

ジェロームが主人公だ。
村上竜一郎

村上竜一郎