EDDIE

ガタカのEDDIEのレビュー・感想・評価

ガタカ(1997年製作の映画)
4.0
人間の可能性に希望を見出せるSF映画の良作。役者の演技、音楽、フィルムの質感と映像美とどれをとってもハイレベル。物語の帰結にやや納得感が出ないが間違いなくヒューマンドラマとして素晴らしい。

前から観たい作品の一つだった本作。ダニー・デビートがプロデュースしていたんですね!監督・脚本は『TIME/タイム』のアンドリュー・ニコルで、彼の監督デビュー作品。
セリフの一つ一つもオシャレかつ深く心に残るものが多く、脚本はかなり力を入れて作られたことが予想できます。

本作では主演イーサン・ホークが演じるヴィンセントが遺伝子で運命が決定づけられる世界においての“不適正者”の設定。またローレン・ディーン演じる弟アントンは“適性者”であるという兄弟間の対比と確執が浮き彫りになっています。
ヴィンセントはとあるきっかけにより“適性者”の生体IDを入手することで、夢である宇宙飛行士への切符を手に入れるわけですが、そこに至るまでの努力がハンパない。
“不適正者”だとバレないために常にテスト前には入念な準備を徹底して行ないます。努力を継続することこそ才能だという謂れもありますが、ヴィンセントはまさにこれを体現しています。ただ“適性者”のDNAを入手したからといってそこに奢ることなく自ら道を切り開いていく彼の姿に感情を揺り動かされます。

また事故により車椅子生活を余儀なくされてしまったジュード・ロウ演じる“適性者”のジェローム。彼とヴィンセントの間に築かれていく信頼関係の構築も本作の見所の一つ。
ロウと共に本作で映像を華やかにしてくれているのがヴィンセントと恋仲になるユマ・サーマン演じるアイリーンもとても魅力的。中盤でヴィンセントが放つセリフを終盤に彼女の立場に置き換えて返すところはとても粋な演出でした。

納得がいかなかったのがとある人物の死。なぜそういう帰結を選んでしまったのか。もっと気持ちいい終わり方だったらなぁとやや不満も残ります。

あと「今後のために。右利きの男は左手では持たない」というセリフ。そんなこたぁない。笑

とはいえかなりレベルの高い作品だなと感じました。106分という時間なので、もう少し上映時間を増やして人物の背景描写をさらに丁寧に描いていれば完璧だったのではないでしょうか。

※2020年自宅鑑賞210本目
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