フライ

ガタカのフライのレビュー・感想・評価

ガタカ(1997年製作の映画)
4.2
優秀な遺伝子を持ったものだけが適性者とされ優遇される近未来設定は、正にヒトラー的発想の閉塞感を感じさせる世界。遺伝子操作による子作りが許される世界において、努力では埋まらない、遺伝子に問題がある不適正者と呼ばれる人間が、如何にして自分の夢を叶えるかと言う少々エグい映画。
イーサン・ホーク、ジュード・ロウ、ユマ・サーマンの本作の世界観を表現するキャスティングとして、冷徹で美しい表情と、何事にも意に返さない雰囲気がとても印象的。終始醸し出される独特な緊張感がたまらなかった。
シンプルで無駄の無い背景と美しさが、尚更この無情な世界観を強調している上、内容や設定の秀逸さと、観ていて憤りを覚える差別や偏見を前面に出した内容にも関わらず、嫌味に感じ無いスタイリッシュな雰囲気と小気味よくさえ感じられたのは、粋でシュールなラストへの展開があったからに思えたが、何より不適正者よりも苦悩する適性者の姿を、上手く表現していたからに感じた。
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