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キングスマン:ゴールデン・サークルのJIZEのレビュー・感想・評価

3.5
謎の組織"ゴールデンサークル"の奇襲を受けキングスマンの拠点が壊滅した前作のその後を舞台に機関を隔てた新たな激戦が描かれるシリーズ続編の第2弾‼今年の2本目はすでに続編の第3弾が内定しているこの作品を選んだ。今回の続編は主に"人肉バーガー祭り"。敵陣の首謀者を演じたジュリアン・ムーアの独壇場でもある。結論から言えば前半のクラシックな世界観と奇抜な武道戦が繰り広げられる"らしさ"の箇所は前作から研磨され全部面白い。まず冒頭,家前でエグジーが敵の奇襲を受けそのままタクシーへ乗り込み狭い室内を駆使するカーチェイスへ場面の毛色が一気に加速していきこの辺の足場を利用したスムーズかつ詰め込んだ攻防戦は観ててかなり興奮した。またコリン・ファース演じるハリーがある影響から記憶を一時的に喪失しああなってる設定もエグジーを前に際立たせる意味では旧世代と新世代を交互に魅せていく事に徹していて構成の織り込み方は綺麗に配置されている。ただ後半に転べば転ぶほど単なるキングスマンを型どる一般向けのコメディスパイへ深刻なほど降下してしまっている。いわゆる作品の個性が完璧に削がれていた。続編だからこうブラッシュアップさせたなど"特別な何か"がこの作品内では描かれない。敵陣のおどけきった軽すぎる姿勢もどこか浮世離れした感があり呑み込めず古典スパイを型どった世界観そのものが十分魅力なだけに続編の意味がボヤけて薄い作品に思える。前作に匹敵する強烈なヴィランが本編で不在ならば続編要素も限りなく浅いライトな第2弾であった。

→総評(キングスマン印が薄れた超軽い続編)。
終盤でコリン・ファースがあの名台詞を言う場面が一番アガッた。結果的に言えば前作の方が面白い。強敵の描きかたやキングスマンの世界観そのものにおける拡張がシリーズの中間(背骨)を担う今回で出来てない。ゆえの腑に落ちない物足りなさが生じている。そもそも脚本の動向があまり続編向けではないという節もあり人肉バーガーを製造して敵がウハウハ言っている程度だと相当アイデアが思いつかなかったんだなあと感じました。あと中盤,雪山からゴンドラが落ちそのまま観光客の休憩所へ突っ込むかどうなるか…のくだりは画力のダイナミズムも加わりよい魅せ場だった。前作(鑑賞済)の知識をほぼ入れずに挑んだためそこら辺のディテールを固めて観れば楽しめる作品なのかもしれない。が,キングスマンという形式張った世界観に何か上乗せできる重荷が限りなく少ない以上,付加できる何かが確実に過不足な一品でした。続編という見方をしなければそれなりに楽しめる!ぜひシリーズが好きな者は事前の予備知識が完璧な状態での鑑賞をお勧めします‼!
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