ロッツォ國友

キングスマン:ゴールデン・サークルのロッツォ國友のレビュー・感想・評価

2.7
「スコットランドに…」


まさかのキングスマン二作目!!
新年初の新作でぃす!!
予告に初代ガラハッドことハリーがモリモリ登場している事からもお分かりの通り、もうこの作品は楽しくやれれば何でもアリでやるつもりのようですぜ!

掴みとなる冒頭から早速フルスロットルでカメラをグリグリ動かすお馴染みのアクションシーンが最高に気持ち良い。
しかもこの熱量のまま最後までハイペースでキレキレ暴力が仕込まれ続ける。
純粋に、一つの娯楽映画として、これ以上無いほどの接待ではないでしょうかね?


それから、前作の悪役ヴァレンタインも強烈な印象を残すハンパねえMr.サイテーだったが、今作のヴィランもそれに一切引けを取らぬとんでもねえMs.サイテーでした。
例の「ハンバーガー」のシーンから、もう本当に知性と懐古主義とサイテー趣味のお祭り型オーケストラ下品ギャグの連続パンチにヤられる。
もちろんこの下品ノリも最後までずっと続く。


そんで、全体に渡って、ちょっとやり過ぎるくらいに前作リスペクト演出、というかガラハッド万歳表現が多用される。
自分的にはなんか多くない?って感じだったが、どうだろう、前作が大好きな人からしたらコレはリピーター向けお約束サービスなのかな。

今回新たにステイツマンなるアメリカの独立諜報組織が出てくるが、脇役の域は超えず、ストーリーの軸はあくまでキングスマンから外れないので、新しい方向のネタを魅せるファンサービス程度に留まっている感はある。
コレは良いのか悪いのか…微妙


上述した前作リスペクト&ガラハッド万歳表現も含めて考えると、キングスマンという作品は気楽に観ていられるハイアクション下品カーニバルとしてデザインし切ろう、という志が感じられる。

その点で言えば、ヴィラン陣営もステイツマンも、ディテールや思想は最高にクールで愉快に仕上げてあるが、展開の仕方や物語の理屈は前作以上に雑でテキトーに思える。
大統領のくだりなど、申し訳程度にインスタントな危機演出をパパッと入れ込んだだけだろう。


こういうノリ、これは完全に仮面ライダーや戦隊ものヒーローの劇場版に酷似している。
「カッコいいヒーローが闘うシーンさえ観れりゃ良いんだろ??」と言わんばかり、さっさと悪役を仕立て上げとっとと向かって行きとっちめる。
一応ヒネリを加えて流れを変えて見せるが、もちろんそれもゴキゲンなバイオレンスアクションシーンの為。

最後まで程良いギリギリ現実路線を貫いていた前作と異なり、あからさまに趣味に走っている。
これぞ見世物根性、と言うべきか。


ただもちろん、今作はとにかく楽しさを重視してあるようなので、スパイ映画趣味へのリスペクトだったり、ウィットに富んだ味わい深い掛け合いだったり、あるいは今を生きる若者へのメッセージみたいな所は殆ど見られない。
必要ないと判断したのだろう。
「キングスマンのファン」という、前作では明らかに存在し得なかった観客がいるのだから、何も知らない人達への配慮とかを削ったのかも。
少し寂しい気もするが、一つの舵取りとしてこういう方向性もアリだな。



てなわけで!
悪趣味全開エンタメアクション下品フェスティバルのキングスマン二作目も、一作目同様「凄く好きな所とちょっと受け入れられない所とが完全両立」状態です…w

まぁでも、展開への違和感や些細な疑問を全部アクションで吹っ飛ばす…といった前作のノリを決して失わない、ファンサービス全開の良い続編ではないでしょーか?

ガタガタ抜かしたけどギャグとアクションは死ぬほど楽しめて最高でした。
細かいところに目を瞑れるなら、これは必見だと思います!

Manners
Maketh
Man
ロッツォ國友

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