中庭

キングスマン:ゴールデン・サークルの中庭のネタバレレビュー・内容・結末

2.8

このレビューはネタバレを含みます

登場するもののあらゆる行動の原理を直接的な暴力とポーカーフェイスの組み合わせで過剰に示し続けることによって爆裂的な吸引力を生み出していた前作と打って変わり、ハリーの目にしか映らない蝶々のイメージや特に抵抗することもなく死んでいく悪の親玉の姿など、視覚化しえない部分に物語の重点を置くような作品に仕上げてある。
前作の主要人物があっけなく画面から消え去り、中盤活躍し続けた裏切りのキャラクターまでも魅力を表面上に引き出す前に文字通り引き裂かれるなど、一見全てがうやむやな状態に落とし込まれてしまったかのような感触もある。観客の期待、感情の山場を一つずつ丁寧にずらしていくかのごとき選択が散見される、奇妙な続編。
ハリーがウイスキーを疑うに足る根拠が示されたショットや台詞、一つでもあったかどうか。この問題により、ハリーが記憶や勘を取り戻しているのかが終盤近くまで掴めず、しかしそれが決定的な転換を物語にもたらすわけでもないため、どこか弛緩したサスペンス性が全面を覆い続け、ハル・ベリーが「今の仕事に満足してる?」という台詞を放つような何気ないシーンでも要らぬ深読みをしてしまうなどして、なかなか入り込みづらい部分も多々あった。
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