シネマJACKすぎうら

キングスマン:ゴールデン・サークルのシネマJACKすぎうらのレビュー・感想・評価

4.3
コミカル路線のイギリス映画は、けっこう露骨にアメリカを小馬鹿にしたような描写をするものだが、このシリーズも例外ではない。

前作においては、サミュエル・L・ジャクソン演じるベンチャー・ビジネスマン系のヴィラン像に、それが集約されていたように記憶している。
そして今回は、その点の造形がさらに丁寧に、かつ、複合的に描かれていて面白いと感じた。

要はジュリアン・ムーア演じる新たなヴィランにも、キングスマンに加勢する味方側にも、そのツッコミというか"イジリ"が効いているのだ。これ、妄想好きな私にとっては実に興味深く映った。コミカルなシーンもそう考えれば、結構笑えたし。

全体的には、往年のジェームス・ボンドものをオマージュしたようなブリティッシュ感はなりを潜めたし、ジュリアン・ムーアが醸すヴィランの存在感は、前作のそれには遠く及ばない。さらには、人体破壊描写をお花畑てきにファンシーに見せる工夫も今回はあまり見られなかった。

ところが、そんな欠点ともとれる要素を、上記のアメリカ・イジリ(笑)の造形が見事にカバーして、あまりある出来栄えとなっている。また、実に豪華なキャストを惜しげもなくチョイ役で起用しているあたり、このイジリ構造とも絡まってPART3への伏線としているのだろう。

もう、次回作が気になってしゃーないシリーズが増えるばかり(笑)。映画ファンとしては嬉しい悲鳴をあげるしかない今日この頃なのだ。