Angie

キングスマン:ゴールデン・サークルのAngieのレビュー・感想・評価

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弾けるポップと対比構造が繰り出すストーリー。

いきなりLet’s Go Crazyで幕開けというところからマシューヴォーンらしい。早回しのカーチェイスとアクション、プリンスの声に乗りながら、映像と音楽が奇妙なコラボレーションを果たす。
その後もポップ・ミュージックの色は絶えず、やはりマシューヴォーンはポップの伝道師だ。

アクションシーンも大変調子がいい。このカメラワーク。スローにするデパルマカットもお忘れなく。見ていて爽快、これがエンターテイメント。

ラストのSaturday Night’s Alright for Fightingのメロディに乗せながら、エグシーとハリーが攻撃していくシーン。ここも今までの作品に共通するような疾走感が感じられる。思わずにやけてしまうほど、「ああ好きだ」と体全身にマシューヴォーンを感じてしまう。

その中で今作品が変わっていたのが、”Take me Home , Country Home”の存在だ。オープニングでファンファーレのようになるその調べを耳に残しながら、のちに私たちはその曲が重大な役割をしていることに気づく。マーリンの大胆な死のシーンに、流すのではなく「キャラクターに歌わせる」という新しい手法を取り、この曲を印象的に流した。
この曲を映画視聴後に改めて聞いてみると、血なまぐさい印象を感じてしまう。これはタランティーノの”パルプフィクション”を見た後、”ミザリー”を聞いた時の感情に近い。または、「時計仕掛けのオレンジ」を見た後の第九の印象か。

ストーリー的な話をすると。
第1作ほどクレイジーではなかったと思うが、今作品も悪役がきわどい。ジュリアンムーアの冷酷な演技はため息が出るほど似合っている。
そして強調しすぎるほどのアメリカンオールディーズ。にんまり。

構造的に言及すると、
麻薬、非合法、ジャングルの奥地。
対照的な、酒、合法、ケンタッキーの広大な土地。
そして介入してしまった、イギリスの高級テイラー、キングスマン。
いろんな対比するような存在がお互いに交錯試合ながら、不思議な調和を生み出す。
ステイツマンの存在は、(名探偵コナンか?と思うのはいいのいいの。)ある意味キングスマン(イギリス)との対比を感じさせながらも、莫大な金と権力で動く、そして正義感が強いところなんかも、共通点も見いだせる。

今作品のテーマになっていたのは、「大切なものを守る」というありがちなものだったのかもしれない。ハリーのセリフがほろっとさせる。
何か守るべきものがあるから、世界を救う。
描き方に注力しすぎて、物語にはびこるテーマを忘れかけていた気がする。

何と言っても、ティルダ王女が不完全に可愛いところがいい。美しすぎず、いい感じに可愛くない。うん。これがいい。
Angie

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