ねこ無双

私の血に流れる血のねこ無双のネタバレレビュー・内容・結末

私の血に流れる血(2015年製作の映画)
4.8

このレビューはネタバレを含みます

マルコ・ベロッキオ監督作品。
これはとても神聖な雰囲気の不思議な話。
あ〜…理解が難しい。
でも、不思議と飽きずに眠くならない!
沢山の好きな要素が合わさって…大好きな映画です。
神のみわざか悪魔の仕業かわからない。

過去パートと現在パートを行ったり来たり。この二つの物語がどう繋がっているのかわからない。
なのに惹きつけられる。
画の力?物語の力?
ボッビオの明け方にパトカーの回転ランプが美しく輝いている光景がまだ浮かぶ。

過去パートは厳か、神聖な雰囲気で。
修道女ベネディッタは捕らえられていた。
彼女が弾劾される罪は悪魔と契約し、神父の自死をたぶらかしたというもの。
彼女が罪を告白すれば、その神父は聖堂へ正式に埋葬出来るのだが…。
告解しない彼女に罪を告白されるため次々と行われる拷問。
彼女は聖女なの?それとも魔女なの?

そして緩やかなムードの現在パート。
この不思議な老紳士が現代にすっと溶け込んでいる姿が素敵で。
そこには脅威なんて全く無い。
この世には摩訶不思議なものが存在するのではないかと思わせる。
そこに住む人たちが飲み踊り夜を明かす…ベッキオの町が生き生きと描かれています。

メタリカの歌が宗教曲アレンジでメインテーマになっているそう。
「Nothing Else Matters」


🐾JAIHO体験記②でした。




ここからは自分への記憶メモ。ネタバレバリバリです。









魔女裁判はホラー映画でよくあるようなヒステリックなものではない。
今まで映画で観てきた魔女裁判はやいやい狂信者たちが周りで騒いでるイメージだったけど、これは修道僧みんながじっと見守る静寂の中で行われる。
敬虔な修道僧たちが拷問を見守ってる訳ですよ!

罪に対する拷問というよりは、罪を証明するための尋問の手段。
例えば鎖をつけて川に沈め、浮かび上がれば自然の摂理に反するから罪がある、沈めば現世では死ぬが罪が無い事が証明され永遠の命を得るだろう…とか。
長い髪を切り悪魔との契約を肌に探すも…無い。
逆さ吊り、鎖をつけて川に投げ落とす…
焼きゴテの試練…
それでも罪を証明することが出来ない。

神父の弟は兄を陥れた女を殺す覚悟で面会に来たが、逆に女から誘惑され心を動かされる。
彼女の涙に心を動かされる神父すら。

そこから時は変わり現代。ここからは音楽も軽妙、コミカルなものに。

時を経てあの修道院は老朽化、州有財産税務局が所有している物件となっていた。
だが、そこには管理人と名乗る一人の男と世話人の女性、そして老人が住んでいた。

彼は夜な夜な徘徊するから吸血鬼と呼ばれている伯爵。何か喰えない魅力がある紳士。
彼はボッビオの平和と安寧を30年以上守ってきた。
ほんとに写真に写ってない!

ボッビオの町は夜も賑やか。
夜の明かりに浮かぶ町の姿は美しい。
日が落ちて歯科医へ歯の治療へ赴く吸血鬼。(この歩いてる姿もいい!)
心惹かれた女性に導かれ、人々が歌う宗教曲のもと老紳士は階段を上がっていく。

再び過去へ戻り、
老いたフェデリコ枢機卿(神父の弟?)は死を目前とした彼女に呼ばれる。
幽閉された壁の隙間から血だらけで薄汚れた彼女が垣間見える。
壁がハンマーで取り壊され、白いモヤの中から出てきた彼女はなぜか若く美しいまま輝いていた。何も身にまとわない姿のまま彼女はそこを立ち去ってゆく。
(神々しいとはまさにこの事(ノД`)✨)

現在へ再び戻り…階段の上には…。